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自己流で海洋散骨をしてはいけない3つのポイント

土佐湾・太平洋で個人的で無秩序な散骨は認められていません。

· 海洋散骨一般

海洋散骨は自由?守るルールはない?

数ヶ月に一度、お金がないなど個人的な事情で、弊社を含む「海洋散骨事業者に依頼をせずに個人的に海洋散骨をしたいんだけどアドバイスをくれないか」というとお問い合わせがあります。

ネット上での責任を追わない勝手な書き込みや日本海洋散骨協会に所属しないヤミ散骨業者が、「海洋散骨は自由である、守るべきルールはない」と主張し、非常に困惑をしています。

法令解釈や昨今の事情を踏まえてきちんと説明をしなければいけないと思い、正確にお伝えできるようにまとめさせていただきました。

①個人的な散骨は”遺骨遺棄罪”に問われる可能性大

刑法第190条

「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」

とあり、法令の文章のみでは単なる散骨という行為は”遺骨遺棄罪”と解釈されます。

しかし、1991年の法務省刑事局(当時)の見解としては、

「刑法190条の規定は社会的習俗としての宗教的感情などを保護するのが目的だから、葬送ための祭祀で節度をもって行われる限り問題ない」

厚生省(当時)の見解として、

「墓埋法はもともと土葬を問題にしていて、遺灰を海や山にまくといった葬法は想定しておらず、対象外である。だからこの法律は自然葬を禁ずる規定ではない」

という見解が現在まで法的解釈として利用されてきています。

ポイントは2つあり、

1「葬送ための祭祀」に該当すると解釈されるか

  葬送とは・・・死者と最後の別れをし、火葬場、墓地に送り出すこと。 またそのための儀式。 古くは野辺送りとも称した。 送葬。

 祭祀とは・・・ 神々や祖先などをまつること。

2「節度をもって行われる」の節度はどのくらいか

になります。

個人的な散骨が”遺骨遺棄罪”に問われる可能性が大きい理由として、客観的に「葬送ための祭祀 」として解釈ができないことがあげられます。

たとえば、家族の方が亡くなり、自分で火葬する技術や施設を保有してあり、遺体を燃やしてしまった場合、「葬送ための祭祀」としてやりましたと言えるのでしょうか。

たとえば、家族の方がお亡くなりになり、自分の信念で遺体をそのまま放置させた場合、自分的には死者のともらいをしていた、という主張をして、世間の理解は得られるでしょうか。また法令で罰せられないでしょうか(明確な遺体遺棄罪です)

というように、自分自身でなにか物事を行い完結させる場合は、客観的な事実を証明できません。

ということは、個人的な散骨については、「葬送ための祭祀」の一つとしてやりましたという主張はできないということになります。

なぜ、海洋散骨の事業者が存在するのか、その一つとして、「客観的に海洋散骨を葬送の一つとして行うべく、海洋散骨という葬儀・儀式を追求している。またその事実を証明できる」ということにあると私達は思っております。

②一見さんではできない高レベルの”散骨の節度”

ポイントの2つ目、「節度をもって行われる」の節度はどのくらいか

節度という解釈は人によって異なります。

たった1つの対応でも節度といえますし、100%を目指す徹底した節度も「節度」と捉えられます。

しかし節度とは時に、他の事例、他の事案の水準も関係してきます。

節度に点数をつけるとすると、99件が100点、1件が1点の場合、その1点の節度は節度がないということと同じです。

では、土佐湾(太平洋)で弊社が行っている”節度”はどのようなレベルでしょうか。

弊社では、一般社団法人日本海洋散骨協会の自主ルールをもとに、四国支部の地域ルールそして土佐湾ならではの特に配慮をすべき項目を、弊社の自主規制としてノウハウ化しております。

その中から概要を一部ご紹介いたします。

①ご遺骨を遺骨をわからないように細かく砕く節度

②ご遺骨の中に含まれる有害物質を取り除き、自然環境に配慮する節度

③ご遺骨が散骨時に風に舞わないようにする節度

④献花は自然環境や船舶に影響のないようにする節度

⑤献水も自然環境に配慮し、海を汚さない節度

⑥日程で他船舶の往来など予期できる場合避ける節度

⑦周りの船舶に配慮をして散骨のタイミングを図る節度

⑧漁業権の場所を把握し、漁業関係者に迷惑をかけない節度

⑨出航のお見送りや乗船の際の周りの第三者への目への配慮と節度

⑩海上で他船に配慮をして、海洋葬儀を行う節度

この中で「個人的に散骨をしたい」という経験やスキルのない一見さんができる節度は、1つでも見当たりますでしょうか。

現時点での土佐湾の節度はこの10個すべてを満たして、ギリギリ要件を満たしている条件だと私達は解釈しています。

また「節度」には終わりはありません。

弊社の「節度」も100点ではありません。

そのくらい「節度をもって行われる海洋散骨」は難しいのです。

③身勝手な海洋散骨で損害賠償請求も

では節度を満たされなかった場合のペナルティは何なのかというと、「損害賠償請求」になってきます。

無秩序な海洋散骨が行われると、イメージダウン、海洋散骨ニーズの減少、引いては、地域内の海洋散骨ができなくなる、などが起こります。

現に複数の地域で、自治体が独自の厳しい海洋散骨条例を設けたところもあります。

身勝手な散骨を行ったことにより、弊社を含めて、関係者からの「損害賠償請求」もありえない話ではありません。

故人が悲しむ散骨はやめませんか

そもそも、故人の方の供養をしたいがために海洋散骨を行うのに、もめてしまえば故人は悲しみませんか、供養になるのでしょうか。

弊社も含めて、一般社団法人日本海洋散骨協会は海洋散骨に真剣です。日々「葬送としての海洋散骨」を考えております。

新しい葬送として海洋散骨に注目されるのは嬉しいのですが、軽い気持ちで海洋散骨を捉えてほしくありません。

個人で海洋散骨を考えている方に少しでも理解をしてもらいたく、お願いをしたいところです。

土佐湾での海洋散骨